あなたは部下に昇給の通知を渡した。自分の給与明細を開くと、基本給の行には去年と同じ数字が並んでいる。管理職の昇給が部下より低いのに、その理由を説明しに来た人は1人もいない。
flowchart TD
A[春の賃上げ交渉] --> B[組合員の昇給]
A -->|席の外| C[管理職の改定]
C --> D[説明なし]
B --> E[差が詰まる]
D --> E
賃上げの結果は公表されても、管理職の改定は誰も読み上げない#
連合は2026年春闘の第7回(最終)回答集計を、2026年7月3日に公表している(出典: 連合「2026年春闘」)。集計されているのは、組合が会社に要求し、会社が返した回答だ。
組合のある会社なら、妥結の中身を組合が報告する経路がある。いくら上がったかと、どう決まったかが一緒に届く。一方で管理職の改定は、同じ春に決まっていても、決まり方を話す場が最初から用意されていない。
その結果、部下の昇給で差が詰まっていくのに、それを数字で示す人も理由を話す人もいない。私はこれを「席の外の据え置き」と呼んでいる。据え置きそのものより、説明が一度も来ないことのほうが燃料を食う。理由の分からない不満は、決着がつかないまま同じ所を回り続けるからだ。
賃上げは交渉の席で決まり、管理職の椅子はそこに無い#
自分がどちら側にいるかは、給与明細の控除欄でおおむね判定できる(組合費を天引きしていない組合なら、組合の加入資格の規定を見る)。
- 組合費の控除行がある 組合員として交渉の対象に入っている。この記事の構造には当たらない
- 控除行が無い 春の交渉はあなたの席の外で決まっている。管理職の改定は、会社が別の場で決める
- 組合そのものが無い 一般社員と管理職で改定の基準が別に書かれているなら、同じ構造になる
賃上げの原資は、配る段階で先に若手へ流れる。その構造は年収1000万円ニュースに給与明細が反応しない話の数字が示している。今回の論点はそこではない。
昇進を打診されたその場で昇給額を数字で置く手は、打診に即答せず金額を先に出して持ち帰る話に書いた。ただ打診の場で決まるのは、昇進したときの額までだ。その後の毎年の改定をどう決めるかは、打診の時点では誰も口にしない。
差は年収より先に時間単価で詰まる#
差が詰まる一番の理由は、部下の昇給額そのものより、残業代の有無にある。部下は残業すれば割増がつき、管理職手当をもらうあなたには時間外の割増がつかない(会社の規程による)。年収でまだ差があっても、働いた時間で割ると差は先に詰まる。
だから年収と時間単価の両方を1枚に並べる。かかる時間は15分だ。部下の側には、実在する部下の給与を書かない。給与規程の等級テーブルか、人事が出しているモデル年収で、自分の1つ下の等級を埋める。残業時間はチームの月平均でいい。
自分の側の労働時間は、勤怠の記録か手帳からの概算で足りる。去年の欄は、前年の源泉徴収票と前年のモデル年収で埋められる。シートは人事に送らないし、AIにも貼らない。自分だけが見る1枚にする。
【差額シート】自分用・提出しない
■ 1つ下の等級(モデル年収で埋める)
基本給(改定後) [ 万円]×12
残業代 月[ ]時間×基礎時給
×(1+割増率)×12
[ 万円]
賞与 [ 万円]
年収 A [ 万円]
年間の労働時間 a [ 時間]
■ 自分
基本給 [ 万円]×12
管理職手当 [ 万円]×12
賞与 [ 万円]
年収 B [ 万円]
年間の労働時間 b [ 時間]
■ 判定(○を付ける)
[ ] B÷b が A÷a を下回っている
[ ] 去年より B−A が縮んでいる
(去年分は前年の源泉徴収票と
前年のモデル年収で埋める)○が1つでも付けば、次の査定面談の前に人事へ1通出す理由が立つ。どちらにも○が付かないなら、今年はこの件に燃料を使わなくていい。
管理職の改定ルールは、上司の口ではなく人事の文書にある#
1通を書く前に、社内ポータルで賃金規程か管理職の処遇規程を開く。改定の時期と決め方が書いてあれば、聞く手間はそこで終わる。ここは5分で済む。
書いていなければ、人事に文書で聞く。私は部下の評価を根拠つきで上に出してきたが、その上でどんな最終判断が下ったかは、出した私にも見えなかった。評価でさえ最終判断が一次評価者の手を離れた先で決まるなら、管理職の改定もその先で決まる。
その場合、上司に口頭で聞いても、返ってくるのは誠実な「分からない」か、善意の推測になる。推測は次の面談の土台にならない。宛先は最初から人事にする。
件名:管理職の給与改定の決め方について
人事部 ご担当者様
管理職の給与改定について、規程で確認できなかった点を
3つ教えてください。
1. 管理職の基本給と管理職手当は、いつ、どの会議で
改定が決まりますか
2. 今年の一般社員の賃上げは、管理職の給与に
どう反映されましたか(反映しない場合はその旨)
3. 一般社員との給与差について、見直しの基準はありますか
次回の査定面談の前に把握しておきたく、
文面でご回答いただけると助かります。金額は書かない。聞いているのはルールで、文面で返ってきたルールはそのまま次の面談の土台になる。出すのは面談の2週間前までにする。
面談の前夜に自分の側の数字も揃えておくなら、判断で動かした金額を1枚にする査定で損を重ねないために先に作っておく数字の手順が使える。人事の回答がルールを、その1枚があなたの側の根拠を受け持つ。
逃げの一手:返事が来なくても、1枚は送らずに手元に置く#
人事から「個別の回答は控えます」と返ってくることもある。返事そのものが来ないこともある。そこで追いかけのメールを書かない。
差額シートは送らずに手元に置いておく。来年の春に同じ欄を埋め直せば、差が詰まる速さが数字で分かる。どこまで詰まったら何を手放すかを、そのとき自分で決められる。
まとめ:席の外の据え置きは、文書で聞くまで誰の宿題にもならない#
春の賃上げは交渉の席で決まり、管理職の改定はその外で、説明なしに決まる。差額は1枚で手元に置き、決め方は人事の文面で受け取る。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
続きはタイムラインに置いていく。
