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title: 部下の例文だらけの目標設定シートは、直さず「期末にYESかNOか」を1問聞けば足りる
date: 2026-10-06
description: 部下の目標設定シートがAIの例文で埋まって届いたとき、そのまま承認すると期末の判定で揉める責任だけが課長に残る。赤を入れて直すのではなく、承認前の面談で「期末に誰が見てもYESかNOで言える数字はどれか」を1問だけ聞き、答えが出ない項目は部下と数字を1つ決めてから承認する手順と、面談の時間が取れない週の逃げの一手を書く。
categories: [問いの設計]
tags: [評価制度, AI活用, 課長]
source: https://ai.work.naenote.net/posts/mokuhyo-settei-reibun-shonin/
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期初の締切が明後日に迫り、承認待ちの欄に部下6人分の目標設定シートが並んでいる。1枚目を開くと「AIを活用して業務効率化を推進し、チーム全体の生産性向上に貢献する」とある。2枚目も3枚目も、名前を入れ替えれば同じ文章として読める。

{{< mermaid >}}
flowchart TD
    A[例文のまま承認] --> B[期末に判定不能]
    B --> C[揉め事が課長へ]
    D[承認前に1問] --> E[数字を1つ合意]
{{< /mermaid >}}

## 例文のまま承認すると、期末の判定を1人で後払いすることになる

例文で埋まったシートは、承認する時点では何も困らない。反論できる箇所が無いので、差し戻す理由も見つからない。

困るのは半年後だ。部下の自己評価には「生産性向上に貢献した。達成」と書かれてくる。あなたは足りないと感じても、何をもって足りないと言えるのかが、シートのどこにも書いていない。面談はそこから、印象と印象のぶつけ合いになる。

私はこれを**判定の後払い**と呼んでいる。例文のシートに承認印を押した瞬間、期末に「達成か未達か」を決めるコストを、利息付きで引き受ける契約にサインしている。払うのは承認者のあなた1人で、例文を出したAIも、評価制度を作った人事も、その場にはいない。

物差しのない評価を告げられる側の重さは、あなた自身も知っているはずだ。自分の査定で「期待以下」とだけ言われ、[**判断で動かした金額を自分で並べて押し返すしかなかった**](/posts/satei-suchi-3ko/)ことがあるなら、なおさらだ。いま判を押そうとしているのは、その重さを部下の側に回す仕組みのほうになる。

## 赤を入れるほど、部下の目標は課長の作文に変わる

最初に浮かぶ手は、自分で直すことだ。1枚ずつ赤を入れるか、シートをAIに貼って「具体的にして」と頼む。どちらも人数分の時間を食ううえに、もっと厄介な問題を抱える。

直した目標は、部下の目標ではなく、あなたの作文になる。期末に未達だったとき、部下の側には「課長が書いた数字なので」という逃げ道が残る。判定の物差しを持っているのがあなただけなら、揉め事の当事者もあなただけだ。

ここで問題の置き場所が変わる。足りないのは文章の具体性ではない。部下とあなたの間で「何が起きたら達成か」が、一度も合意されていないことだ。

部下がAIの例文を使ったのは怠慢ではなく、様式が文章で書かせる作りだからだ。例文を見抜けないのも、あなたの評価力の不足ではない。評価者訓練もないまま承認の権限だけを渡し、判定基準を合意する工程を様式に入れていない、制度の側の穴だ。

私は部下に評価を伝えるとき、自分がどう判断したかを根拠付きで伝えることを管理職の責務にしている。上が最終的にどう判断するかは分からなくても、自分の判断の根拠だけは渡せるからだ。ただ、その根拠は期初に物差しが無いと作れない。根拠なしで評価を告げた先に待っているのは、[**「納得できません」から始まる二度目の面談**](/posts/hyoka-nattoku-ikanai-kiroku/)だ。

## 承認前の面談で聞くのは「期末に誰が見てもYESかNOで言える数字はどれか」だけ

打つ手は、シートに赤を入れず、承認前の面談でこの1問を聞くことだ。直す作業は部下の側に残し、あなたは判定できるかどうかだけを見る。

```
このシートの目標のうち、期末に私とあなたが別々に見ても
同じ「達成／未達」になる数字はどれですか。
無ければ、今ここで1つ決めてから承認します。
```

手順は3つで終わる。

1. シートは直さずに面談へ持ち込み、目標欄の項目ごとに上の1問を当てる
2. 部下が挙げた数字が下の判定基準を満たせば、その数字を部下自身にシートへ1行書き足してもらう
3. 答えが出ない項目は、その場で部下に数字の案を出してもらい、基準を満たす1つを採用してから承認する

判定基準は3つだけ見る。

- **期限がある** 「今期末までに」「3月末時点で」と書ける
- **数える対象が決まっている** 件数・日数・金額・回数のどれか
- **誰が数えても同じ値になる** 本人の感想や上司の印象を経由しない

たとえば「業務効率化を推進する」は3つとも満たさない。「担当案件の障害報告を、発生から2営業日以内に全件出す」なら3つとも満たす。

数字を出すのは部下で、あなたは判定するだけにとどめる。部下が数字の出し方そのもので詰まったら、[AIに頼む前に、期末に判定できる数字を1つ決めておく順序](/posts/mokuhyo-settei-suji-sentei/)を見せればいい。あなた自身の目標シート向けに書いた順序だが、部下の側でもそのまま使える。

面談の枠を新しく作る必要もない。私の勤め先には、評価期に用がなくても面談を設定するルールがある。私が上司と受けるその回は、話す目的がないので、近況を5分10分話して終わっている。空回りしているその枠に、この1問を置けばいい。

## 逃げの一手：面談の枠が取れない週は、チャットで1問を送って承認を待たせる

締切までに全員と話せない週は、面談を飛ばしてチャットで同じ問いを送る。承認は返信が来てからにする。

```
目標シート受け取りました。承認の前に1つだけお願いします。
各目標に、期末に私とあなたが別々に見ても同じ判定になる
数字を1つずつ書き足して、再提出してください。
思いつかない項目は空欄のままで構いません。○日に5分で一緒に決めます。
```

人事の承認期限が先に来たら、承認自体はしてよい。この文面を送った記録だけは消さずに残しておく。期末に揉めたとき、物差しを決めにいったのが期初だったことは、記録があれば示せる。

## まとめ：承認印の前の1問が、期末の判定を期初に移す

例文のままの承認印は、期末の判定をあなた1人で後払いする契約になる。支払いを期初に移すのに要るのは、承認前に聞く1問だけだ。

{{< ai-disclaimer >}}


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### AI Agent Context & Resources
- **Author**: NAE
- **Source**: https://ai.work.naenote.net/posts/mokuhyo-settei-reibun-shonin/
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