金曜の夕方、週報のスライドで矢印とアイコンの位置を揃え直している。中身は先週から変わっていないのに、体裁を整えるだけで30分が消えた。この30分は、誰の評価にもならない。
flowchart TD
A[パワポ日報] --> B[人にだけ通じる]
B --> C[AIは行間読めず]
C --> D[検索精度低下]
D --> E[AI活用が進まず]
パワポ日報禁止という一手#
NTTドコモソリューションズのプラットフォームサービス部は、IT運用の約30%をすでにAIエージェントに任せている。最終目標は70%だという(出典: 業務の30%をAIエージェントがこなすIT運用部門、なぜ「パワポ文書」を禁止したのか?)。
この部を率いる駒沢健氏は2024年7月、日報や週報などの社内報告書をテキストのみで書くルールに切り替えた。狙いはAI活用のための社内データ整備で、当時は社内文書を検索対象にしたRAGのチューニングをしても、期待した精度の回答が返ってこなかった。
原因の一つが「パワポ文書」だったと駒沢氏は振り返る。図版や口頭説明が補われて初めて意味が通る資料は、人間同士なら暗黙の了解で読めても、AIには行間が伝わらない。AIエージェントへの指示設計を語る記事は多いが、その前段でデータ自体が読める形になっているかを問うたケースは少ない。
見栄えは非評価労働だったという発見#
資料の見栄えを整える労力は、実は誰の評価にもならないコストだった。駒沢氏は精度が上がらなかった理由を、パワポ以外に2つ挙げている。
ひとつは「0.6版」「0.7版」とナンバリングされたファイルやその複製コピーが散在し、AIがどれを参照すべきか判断できなかったこと。もうひとつは、プロンプト以前に「何を問うべきか」を正しく設定できる人材が不足していたことだ。
つまり資料が読めなかった責任は、書き手の文章力の低さではない。フォーマットの選択とファイル管理の設計が、AIにとっての「読めない」を作っていた。
私自身、AIに資料を作らせて思い知ったことがある。中身が的外れでも、AIはそれっぽく体裁だけ整えてしまう。見た目の良さは中身の粗さを暴かない。むしろ隠す。人間の目で見ている間は誤魔化せていたコストが、AIに読ませた瞬間に可視化されただけだ。議事録をテキストでAIに渡す設計も同じ構造で、口頭と図版に依存した情報は結局誰にも渡せていない。
自分のチームの週報だけ、テキスト1本に変える#
会社全体のルールを変える権限は、あなたにはない。だが自分のチームの週報フォーマットなら、来週から変えられる。
まずはスライドをやめて、次の3行だけのテキストに切り替える。
【結論】今週のステータス(順調/遅延/要判断)
【根拠】何が起きたか、数字か事実で1〜2行
【次の一手】来週やること、誰の判断を仰ぐか次に、ファイルの乱立を止める。バージョン番号でファイルを増やすのをやめ、日付をファイル名に入れて最新版だけを残す。旧版は別フォルダに退避すればいい。
最後に判定基準を持つ。週に一度、その週報をAIに読ませて要約させてみる。意図した通りに要約できれば、その資料はAIにも人にも読める。できなければ、行間に頼っている箇所がまだ残っている証拠だ。AIに判断を任せる境界線を決める作業も、結局はこの「読めるか」の判定から始まる。ルールを段階的に固める手順はAI活用のルールを5ステップで決める記事にも書いた。
抵抗されたら、外向けの資料だけ残せばいい#
チームがスライド文化に慣れていると、テキストだけの週報は抵抗される。その場合、無理に全社へ広げる必要はない。
役員説明や顧客向けの資料は、これまで通りパワポで作ればいい。テキストを原本にして、見せる相手がいる時だけAIにスライドを起こさせる二段構えにすれば、体裁を整える時間は最小限で済む。AIに代替されない課長の残り仕事は、こうして手を抜いた分だけ結局残り続ける。
まとめ:見栄えを整える時間は、評価にならない#
パワポ禁止は精神論ではなく、AIが読める形にデータを揃えるための最短ルートだった。その時間をどこまで削れるかは、来週の週報1本で試せる。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
査定に載らない組織仕事を振られたその日に、そのまま出せる定型文が3通ある。
→ 期待値コントロール定型文集(抜粋版)続きはタイムラインに置いていく。
