夜11時、スマホで「退職代行」と検索したことがある。
サービスの口コミを読み、料金を確認し、申込フォームまで開いた。指が止まったのは恐怖からではなかった。
辞めても、この問題は解決しないと気づいたからだ。
1. 退職代行を調べた夜#
あれは過労が深刻になりはじめた年の秋だった。
毎晩終電、週末も仕事。会議のたびに発言を求められ、返答が遅れると「大丈夫か」と声をかけられる。大丈夫ではない。でも「大丈夫です」と答えるしかない。
帰宅して風呂に入りながら、ふと思った。「明日、会社に行かなくていいとしたら、どれだけ楽になるだろう」。
その思考の延長線上に「退職代行」があった。
退職代行を使えば、明日から会社に行かなくていい。上司の顔を見なくていい。終わらない仕事を受け取らなくていい。その日の夜は、久しぶりに7時間眠れた。
2. 翌朝、考えが変わった#
翌朝、冷静になって考えた。
会社を辞めて何が変わるか。給与はゼロになる。住宅ローンは続く。転職先が同じ文化の会社なら、同じことが繰り返される。
問題は会社ではなかった。
「ノー」と言えないこと。期待値をコントロールしないこと。自分の燃料残量を無視して仕事を引き受け続けること。これらは会社が作った問題ではなく、私が作った問題だった。
会社という器の中に、実は私が使っていなかった仕組みが山ほどある。傷病休職、傷病手当金、産業医との面談。会社は組織として、一定数の社員が倒れることを想定している。その仕組みを使うことは、制度の正当な利用だ。
退職は「最終手段」ではなく「選択肢のひとつ」だと、そのとき初めて理解した。
3. 雇われの算数で考える#
退職と休職を比較すると、算数は明確だ。
退職の場合:
- 給与: ゼロ(翌日から)
- 傷病手当金: なし
- 産業医・カウンセリング: なし
- 転職先の確保: 必要(過労状態で活動することになる)
休職の場合:
- 給与: 6割相当が傷病手当金として最長1年6ヶ月支給
- 産業医・保健師との面談: 無料
- 復職の権利: 保持
- 転職の選択肢: 休養しながら検討できる
会社は使える間は使う。退職は最後の切り札として、ポケットに忍ばせたままにしておく。
「逃げの一手」とはそういうものだ。カードを捨てない。使わずに持っておく。その存在を知っているだけで、今夜の会議の圧力が少し軽くなる。
4. 休職してわかったこと#
結局私は翌年、休職した。10ヶ月かかった。
復職後に変えたのは会社ではなく、働き方だった。「ノー」と言う練習を始めた。期待値を先に交渉することを覚えた。収入源を会社の給与だけに依存しないよう、副業を始めた。
「この会社でしか生きられない」という思い込みがなくなると、仕事への向き合い方が変わった。会社に搾取されているのではなく、会社というシステムを使って生活費を稼いでいる、という認識に変わった。
退職代行を調べた夜の恐怖は、「辞めたい」という気持ちではなかった。「この状態から逃げたい」という燃料切れのサインだった。
5. 逃げの一手#
退職は今夜しなくていい。
でも「退職できる」という事実は確認しておいてほしい。書類は一枚だ。法律上、2週間前に伝えれば辞められる。会社の引き止めに法的効力はない。
カードがポケットにあると知っているだけで、人は少し強くなれる。
今夜検索したあなたへ。それは正しい反応だ。ただ、決断は今夜しなくていい。まず「傷病手当金 計算」で検索し直してほしい。選択肢が増えるから。
辞める権利は、いつでもある。
だから今夜は、まず眠ってほしい。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
