今日も「自分でやったほうが早い」と思って、部下の仕事を引き取った。
それは間違いではない。あなたのほうが速いし、品質も高い。そのことは認める。
ただ、その算数が間違っていると言いたい。
1. 「自分でやった」先にあるもの#
あなたが部下の仕事を引き取るたびに、何が起きるか。
まず、あなたの仕事量が増える。管理職としての仕事(調整、報告、判断)に加えて、現場の実作業まで抱えることになる。プレイングマネージャという肩書はそれを正当化しているように見えるが、実態は「2人分の仕事を1人分の給与で請け負っている」状態に近い。
次に、部下は成長しない。成長は失敗から学ぶプロセスだ。しかしあなたが先回りして引き取るかぎり、部下は失敗するチャンスを得られない。半年後も「自分でやったほうが早い」状況は変わらないどころか、差は広がっている。
そして最悪の段階が来る。あなたは、部下を持っていることで余計に消耗する管理職になる。部下は「何もさせてもらえない人」と感じて離職するか、何も考えなくなるかのどちらかだ。
私もそうだった。
2. 構造を暴く#
「自分でやったほうが早い」は、正確には「今この瞬間に自分でやったほうが早い」だ。
しかし管理職の仕事は「今この瞬間」を最適化することではない。チームが来週・来月・半年後に自律的に動けるかどうかを設計することだ。
関係者全員から100点をもらうのはそもそも無理だ。部下の成長を優先するなら、今日の品質を犠牲にする必要がある。顧客の満足を優先するなら、部下の成長は後回しになる。この利害の衝突は、あなたが「いい人」をやめない限り解消しない。
問題は部下の能力ではない。あなたが「判断・調整・コントロール」という管理職の本来の仕事を、「自分でやったほうが早い」という実作業で埋めていることだ。
3. 「仕事の単位」を変える#
解法は意外とシンプルだ。委譲するのは「タスク」ではなく「論点」にする。
悪い例: 「この資料を明日までに作っておいて」 良い例: 「来週の役員説明でXを決めなければならない。そのためにどんな情報が必要か考えてみて。まず15分で案を出してほしい」
後者は部下に「なぜこの仕事が存在するか」を考えさせる。これが思考の委譲だ。資料の完成度は60点でいい。あなたが残り40点を調整する。その繰り返しが、部下を「論点を持って動ける人」に変えていく。
最初は遅い。それは当然だ。しかし3ヶ月後、あなたは「論点を渡せば動ける部下」を持っている。
4. 逃げの一手#
委譲がうまくいかないとき、それは部下の問題ではなく、論点の設計が雑すぎる可能性が高い。
「なぜこの仕事が必要か」「完成とはどういう状態か」「判断に迷ったら何を基準にするか」。この3つを30秒で言えないなら、あなた自身がまだ論点を理解していない。
そして委譲がどうしても無理なら、その仕事はそもそも存在しなくていいかもしれない。「やらない」は最も強力な委譲だ。
あなたが全部を抱えたまま倒れたとき、代わりに仕事を引き継ぐのは結局その「自分でやったほうが早い」と思っていた部下だ。
あなたが「自分でやったほうが早い」と思い続ける限り、あなたの代わりは永遠に現れない。
それがトラップだ。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
