社内チャットに人事部の投稿が流れてきた。生成AIで採用面接の質問設計を自動化した、という報告だ。
情報システム部門の課長であるあなたは「いいね」を押しながら、自分のチームの全社AI利用申請フローがまだ固まっていないことを思い出す。私が話を聞いてきた課長たちは口を揃えて言う。技術に一番詳しいはずの部署が、活用の数字では地味な位置に沈む、と。
flowchart TD
A[利用率57.4%] --> B[量では劣勢]
B --> C[質指標に転換]
C --> D[役員に語り直す]
生成AI利用率、情シスは人事・マーケより低い#
ラグザスが20〜59歳の男性3,000人に依頼し、有効回答2,319人から集めた調査がある(2026年7月実施)。
部門別の生成AI利用率で最も高かったのは人事・労務の65.1%だった。情報システムは57.4%で、7.7ポイント低い。技術のプロが並ぶはずの部署が、量の勝負では中位に沈んでいる。(出典: ラグザス「生成AIの活用に関する調査」)
情シスが量で負けるのは構造の結果#
理由は役割の違いにある。人事やマーケティングにとって生成AIは試す対象だが、情報システムにとっては管理する対象だ。
情報漏洩や権限設計、ログ管理を先に詰めるのがあなたの仕事であり、利用の実験を広げるのは後回しになる。攻める部署が数字を稼ぎ、守る部署が数字を削られるのは設計上そうなっている。あなたの技術力の欠如が原因ではない。これは(プレイングマネージャーとしての構造的負荷)のうちの一つでもある。
評価制度そのものがAI活用の量を拾わないという構造は、(AI研修後に使い始めた課長の燃料投資が、評価制度で全額溶ける構造)でも書いた話に近い。研修が追いつかないまま活用率だけを比較される事情は、(管理職が研修を受けても活用できない理由)に詳しい。
土俵を利用率から整備実績に移す#
利用率という量の指標で役員に評価される限り、情シス課長は構造的に負ける。だから評価される土俵そのものを変える。
具体的には次の3つだ。
- 指標の入れ替え 利用率ではなく、ガイドライン整備の進捗とインシデント件数を報告に並べる
- 数字の貸し借り 他部門の利用率上昇を、自部署が整備した範囲のガバナンスと結びつけて語る
- 先出しの宣言 役員説明の冒頭で「今日はどの指標で見ていただきたいか」を先に決めてもらう
(非評価労働を70点で回す設計)で書いた「70%運用開始」の型は、ここでもそのまま使える。完璧なガバナンス文書を作ってから語るのではなく、粗くても出した実績から語ればいい。
逃げの一手#
それでも役員が「利用率の数字が欲しい」と言い切ることはある。全部門一律に広げようとすると、あなたの燃料はすぐに尽きる。
そのときは、議事録要約のような即効性のある1つの使い道だけに絞る。自分のチーム内で使用率を上げ、そこだけの数字を持って出す。広く薄く配るより、狭く確実な数字の方が退路になる。
まとめ:量より先に、測られ方を選ぶ#
利用率という量の勝負では、情シス課長は構造上勝てない。測られる指標を変えるか、1つのユースケースだけを数字にするか、今日どちらかを選べばいい。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
