あなたの部下のパソコンには、承認されていない生成AIのタブが開いている。会社は利用禁止の通達を出した。それでも週次報告の文体が急に整い始めた部下が、もう何人かいる。
flowchart TD
A[AI利用禁止] --> B[黙って継続]
B --> C{対応の分岐}
C --> D[燃料計で判断]
C --> E[運用ルール明文化]
禁止令の下で起きていること#
外から観察してきた限り、生成AI利用禁止令を出した後に起きることはだいたい同じだ。表向きの利用はゼロになり、実態はゼロにならない。
こういう話がXで出るたびに、「禁止しても無駄だ」という反応と「見つけたら即懲戒にすべきだ」という反応が同時に集まる。どちらも、律するコストと黙認した場合のリスクを比較していない。
私が話を聞いてきた課長たちは口を揃えて言う。「使うなと言っても、隠れて使う部下は必ず一定数いる」と。問題は、その部下を見つけたときにどう動くかを、感情で決めてしまうことだ。
律するコストと黙認リスクの構造#
部下が禁止令を破ってでもAIを使い続けるのには理由がある。生成AIを使った資料は速く、体裁も整う。査定の対象になるのは成果物であって、作成過程ではない。
一方であなたには律する動機もある。情報漏洩が起きれば責任は課長に及ぶ。だが律すれば部下の作業速度は落ち、あなたの管理範囲の生産性も落ちる。どちらを選んでも燃料は減る。
課長自身が黙って禁止ツールに手を伸ばす構造は「課長が社内禁止AIに機密を打ち込む理由」に書いた。今回はその逆で、部下の黙認をどう扱うかという話だ。
ここで感情的に見せしめの叱責を選ぶと、部下は表向きの利用をやめて水面下に潜るだけだ。監視コストだけが増え、律するコストと黙認リスクは減らない。
燃料計で判断する手順#
判断を感情から切り離すには、律するコストと黙認リスクを同じ土俵で比較すればいい。具体的には3つの行動で足りる。
情報の桁で線引きする#
部下が入力している情報が、固有名詞・数字・人事情報を含むかどうかで対応の重さを変える。汎用的な文章整形だけなら、律するコストをかける必要はない。機密が混ざっている場合だけ、個別に指導する対象にする。情報の桁で温度を測る発想は「7割の課長が黙ってAIを使っている」で使った雇われの算数と同じだ。
運用ルールを自分で先に引く#
会社の公式ポリシーが曖昧なまま放置されていると、部下は独自の判断基準で線を引く。あなたが先に「使ってよい業務」と「使ってはいけない業務」を1枚のメモにして配れば、部下の判断基準はあなたの基準に揃う。これは事前にルールを明文化して判断コストを下げる、「断るにも燃料がいる」で示した設計と同じ発想だ。
露見時の対応を事前に決めておく#
見つけたときにその場で叱責するか、業務設計の問題として扱うかを、発見前に決めておく。事前に決めておけば、発見した瞬間の感情的な判断を避けられる。日常的に部下の変化を検知したい場合は「部下のサイレント失敗をAIに見張らせる」の手法が使える。
この3つは律するコストをゼロにはしない。だが感情で決めるより燃料効率は確実に上がる。
逃げの一手#
どうしても線引きが決まらないまま部下の利用が発覚することもある。その場で処分を決めない。「事実確認のみ行い、対応は追って通知する」と伝えて一度持ち帰る。
持ち帰った後にすることは一つだ。会社のセキュリティ規程を確認し、それを判断の根拠にする。あなた個人の裁量で決めた処分は、後から反論される。
まとめ#
禁止令を破る部下を裁くかどうかは、律するコストと黙認リスクを比較してから決めることだ。感情ではなく燃料計で線を引いた課長だけが、次の判断でも消耗しない。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
