深夜、役員説明資料の3回目の修正を終えた課長が、パワーポイントを閉じて背もたれに沈む。
中身は変わっていない。色と順番と言い回しが変わっただけだ。
私が話を聞いてきた課長たちは口を揃えて言う。「直しても直しても、次はまた別の場所を指摘される」と。
flowchart TD
A[351枚] --> B[7パターン]
B --> C[論証テーブル45%]
C --> D[AIプロンプト化]
経産省納品資料351枚に、修正の跡がほぼ見えない#
経済産業省が公表した「燃料安定供給対策に関する調査」の報告書がある。作成したのはデロイト トーマツ コンサルティングだ。
一次ソースはこの報告書そのもの、二次ソースはこの351枚を手作業で分類したうちた氏のnote記事だ。うちた氏が独自に数えたところ、スライドの型はわずか7パターンしかなかった(出典: デロイトが国に納品したスライド351枚、全部数えたらパターンは7つだけだった)。
もっとも多かったのは「課題→現状→打ち手」の3列で構成する論証テーブル型で、157枚・全体の45%を占めていた。デロイトが公式に定義したフレームワークではなく、あくまでうちた氏個人の分類である点は明記しておく。
国が委託した数百万円規模の調査資料でも、7つの型の反復で成り立っている。あなたが夜な夜な悩んでいる構成の独自性は、実はほとんど求められていない。
なぜこの型に収束するのか#
役員が資料を見て判断するとき、最短で必要なのは3つの情報だけだ。今何が問題か、現状はどうなっているか、どうするか。
この3列を外れた資料は、役員の頭の中で再構成の手間が発生し、それが「わかりにくい」という一言に変換されて課長に返ってくる。
つまり論証テーブル型は、デロイトの好みではなく、意思決定する側の処理コストを最小化する型として自然に選ばれている。型が同じ理由は、判断する側の脳の使い方が同じだからだ。
型をプロンプト化して手戻りを事前に潰す#
役員向け説明資料の効率化は、AI活用における意思決定コストを減らす実践例でもある。
型が決まっているなら、資料を作るたびにゼロから構成を悩む必要はない。AIに型そのものを渡してしまえばいい。
- 論証テーブル型のプロンプトを固定する 「課題」「現状」「打ち手」の3列だけを埋めさせ、余計な装飾は出させない。そのまま使えるプロンプトを置く。
あなたは役員説明資料の担当者です。
以下の材料から、スライド1枚分の
「論証テーブル」を作成してください。
出力は必ず次の3列のみ:
- 課題(何が問題か、1文で)
- 現状(今どうなっているか、
数字を含めて)
- 打ち手(次に何をするか、1文で)
背景説明・要約文・装飾的な言い回しは
出力しないでください。
[ここに議論の材料や叩き台を貼る]- 過去の指摘履歴を読み込ませる 前回までの役員コメントをAIに渡し、同じ指摘が出る箇所だけ先に直させる。
- 最初のドラフトは型を崩さず出させる 見栄えの調整は後回しにし、型そのものの妥当性を先に確認する。
この3つをやるだけで、資料作成のたびに発生していた「構成をどうするか」という思考の往復がなくなる。減るのはあなたの時間ではなく、判断疲れそのものだ。
それでも通らないときの逃げの一手#
課長の燃料管理と同じく、修正往復の無限ループに陥るのを避けることが肝要だ。
型通りに作っても、指摘が「型」ではなく「好み」から来ることがある。その場合は資料の精度の問題ではなく、話がすでに政治的なものに置き換わっている。
そういうときは、修正回数に上限を先に決めておく。2回までAIに型通りの修正をさせ、3回目からは「口頭で認識をすり合わせてから、資料に反映します」と返す。資料を直す代わりに、すり合わせの場を取りに行くということだ。
それでも収まらないなら、その役員説明はあなたの資料の腕の問題ではない。意思決定の準備が整っていない場に、あなたが巻き込まれているだけだ。
まとめ:型は借りるもので、覚えるものではない#
351枚のうち157枚が同じ型だったという事実は、役員向け資料に独自性がほとんど要らないことを示している。型をAIに渡し、修正の往復を減らせばいい。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
