月曜の朝会で新しい依頼の話が出た瞬間、あなたの頭には同じ名前が浮かぶ。あの部下なら締切を落とさないし、説明も一度で済む。そうして振った案件が、気づけばその部下の机にだけ積み上がっている。
チームの業務量の偏りは、こうした毎回の正しい判断から生まれる。直す順番は、配分表より先に、振る前の自分の癖だ。
flowchart TD
A[失点を避けたい] --> B[できる人に振る]
B --> C[一人に案件集中]
C --> D[他に経験が残らない]
D --> B
偏りは、振るたびに下した正しい判断の合計でできている#
偏りを作っているのは、仕事を抱えがちな部下でも、手が遅い部下でもない。あなたが案件ごとに下してきた判断の合計だ。
一つひとつの判断は、どれも筋が通っている。締切が近い、上が見ている、初めての客だ。こういう条件が並ぶ案件ほど、失敗しにくい人に寄せるのが合理的に見えるし、その場ではそれで正しい。
問題は、その「正しい」が毎回同じ方向を向くことだ。条件の厳しい案件は毎週のように来る。そのたびに同じ人へ寄せれば、偏りは誰も決めていないのに確定する。
振るたびに買っているのは、部下の時間で払う保険だ#
この合理には名前を付けておく。私はこれを保険の配分と呼んでいる。失敗しにくい人に案件を振るとき、あなたは自分の失点を防ぐ保険を買っていて、その保険料を払っているのは部下の時間だ。
保険を買いたくなるのは、雇われの算数として当然でもある。炎上は1回で記録に残るが、偏りは毎回の判断に散っていて、誰の失点にもならない。この勘定のままなら、誰が振っても同じ人に寄る。
だから表で均すだけでは、いずれ元に戻る。担当者ごとに件数と締切を数えて並べる表は、偏りを議題に変えるところまでは効く。ただ、振り直した翌週に厳しい案件が来れば、癖はまた同じ名前を選ぶ。表を作り直す燃料より、振る瞬間の問いを1つ差し替えるほうが安い。
振る前の1問は「失敗したら外に損が出るか」だけでいい#
「誰なら失敗しないか」を「失敗したら外に損が出るか」に差し替える。問う対象を人から案件に移すだけで、保険を買う必要のない案件が見えてくる。
私も案件を振る側に立っている。規模が小さく、客に対するリスクも小さい案件は、仕上がりが多少粗くなっても目をつぶって任せると決めている。レビューで見るのは客に向けた全体の整合だけで、それ以外の出来には手を出さない。
判定はこの形で足りる。
振る前の1問:この案件が失敗したら、チームの外に損が出るか
出る → 失敗しにくい人に振ってよい(保険を買う理由がある)
出ない → いま手が一番空いている人に振る。仕上がりの粗さは引き受ける
迷う → 「出ない」側に倒す。外に出る直前のレビューを1回だけ挟む任せた先は遅れることがある。だから振るときに、途中経過を上げてもらう日を1日だけ決めて一緒に渡す。報告や相談の線が引けていないと、任せた案件から崩れていくのは私のところでも同じだ。粗さは許しても、黙って遅れることは許さない線にしておく。
止まる案件は、人を足す相談ではなく期限の案として上に出す#
1問を通しても、「出る」側の案件はできる部下の手元に残る。それ自体は正当だが、その部下が1人で支えている事実は変わらない。そこで、手元の案件一覧に1列だけ足す。
| 案件 | 担当 | この人が1週間抜けたら止まるか |
|---|---|---|
| ○○社 月次報告 | Aさん | 止まる |
| 社内ツール更新 | Bさん | 止まらない |埋めるのは「止まる/止まらない」の二択だけで、理由は書かない。数分で埋まる一覧で、上に見せる材料はこれで揃う。
止まる理由が「判断がその部下の頭の中にしかない」ことなら、手当ては期限とは別になる。書き出すのは部下本人で、あなたはその時間を空ける側に回る。本人が使える手順は、抜けると止まる側から判断の分かれ目を1つずつ書き出していく記事にまとめてある。
「止まる」が並んだ案件を上に出すとき、「人を足してほしい」とは言わない。人も予算も上の手元に無いことが多く、その相談は「検討する」で保留されやすい。期限なら、上が客や上位と話して動かせる。上が動かせる物で出す。
件名:○○社案件の期限について、案を2つお持ちしました
○○社の月次報告は、Aさんが1週間抜けると止まります。
いまのチームに、代わりに回せる人はいません。
増員ではなく、期限の側で次の2案を考えました。
案1:次回の提出を1週間後ろにずらす
案2:提出範囲を△△に絞り、残りを翌月に回す
どちらで進めるか、今週中に決めていただけますか。決めるのは上で、あなたは選択肢を並べるところまでを持つ。この形は、手一杯なのに案件を振ってきた相手へ、優先順位を決めてもらう返し方と骨格が同じだ。
逃げの一手:期限が動かなかったら、出した日付と返事を1行だけ残す#
期限案を出しても「今回はこのままで」と返されることはある。そのとき、止まる案件を自分で引き取りに行かない。あなたが穴を埋めれば、保険料の払い手が部下からあなたに替わるだけだ。
やることは、この1行の記録だけにする。
○/○ ○○社月次報告:1週間抜けると止まる旨と期限案2つを提示。回答「現行のまま」この1行があれば、本当に止まった日に、止まると上が知っていたことを示せる。振る前の1問は誰の承認も要らないので、期限が動かなくても明日から続けられる。偏りが減っていくのは、その1問を通って別の人に渡った案件の分だけだ。
まとめ:偏りは部下の性質ではなく、振る側が積み上げた保険だ#
振る前に「外に損が出るか」を聞き、止まる案件は期限の案で上に出す。動かなかった返事は1行で残し、1問だけは手放さない。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
査定に載らない組織仕事を振られたその日に、そのまま出せる定型文が3通ある。
→ 期待値コントロール定型文集(抜粋版)続きはタイムラインに置いていく。
