同じ稟議書を、今日で3回目書き直している。金額も体裁も直したのに、上長の反応はまた「もう少し詰めてから」だった。中身は変えていないのに、通る気配だけが遠のいていく。
提案の書き方を疑う前に、確かめておきたいことがある。決裁の場で、あなたの発言権は最初から低く設計されている。
flowchart TD
A[満額提案] --> B[却下]
C[死守額+材料] --> D[相手が選ぶ]
D --> E[通過]
三度目も同じ理由で止まる#
却下の理由は毎回少しずつ違う。「根拠が薄い」「他部署の合意がない」「時期尚早」。だが変わっていないのは、こちらが毎回、満額のまま出し続けていることだ。
理由が変わるたびに、こちらは中身を作り直す。数字を足し、根拠を積み、体裁を整える。その労力は積み上がるのに、通過率は上がらない。
これは提案の完成度の問題ではない。決裁者が「どこまでなら認められるか」を一切示さないまま、可否だけを返しているからだ。
却下しても決裁者は何も失わない#
結論から言えば、発言権の低さは提案の巧拙とは無関係だ。決裁者にとって満額の承認は、自分の判断責任を背負うことを意味する。
後で数字が崩れたとき、「なぜそこまで認めたのか」と問われるのは決裁者自身だ。一方、却下しておけば、その説明責任は一度も発生しない。
承認のコストは決裁者側にあり、作り直しのコストはこちら側にある。この非対称のもとでは、満額を丸ごと通すという選択肢はそもそも選ばれにくい。決裁者もまた、自分の上長に対して雇われの算数で動いている一人にすぎない。
決裁の場でこの噛み合わせを何度も見てきた。共通しているのは提案の粗さではなく、可否の一択だけを求めて出している点だ。役員が先送りや部分回答で決定を避ける型を使うのも、同じ危険回避の延長線上にある。
死守額を先に確定し、残りを交渉材料として渡す#
満額を求める代わりに、先に二つを切り分ける。削るとこの提案自体が意味をなさなくなる一点を死守額と呼ぶ。状況次第で譲れる残りが交渉材料になる。
死守額は一つに絞る。予算なら最低ライン、人員なら最少人数、納期なら死守日、のどれか一つだ。複数を死守額として並べると、それはもう死守額ではなく満額の言い換えになる。
交渉材料は、削ってもいい項目を自分から先に出す。相手に「どこを削らせるか」を探させると、その分だけ判断コストが上がり、却下の口実になる。
この二つを、決裁者が選ぶだけで済む形にして渡す。
【死守額】この提案が成立する最低ラインは
〇〇です。これを割ると提案自体が成立しません。
【交渉材料】ここから先は状況に応じて
調整できます。△△か□□のどちらかを
削る形で進められます。
【依頼】上記を踏まえ、A案・B案の
どちらで進めるかご判断ください。満額か却下かの一択は、決裁者にとって最も重い判断になる。A案かB案かの二択は、判断のハードルが一段下がる。削る候補がすでに示されているぶん、決裁者は自分で線引きを探す作業を負わずに済む。
死守額の切り分けは、巻き込まれる前に期待値そのものを小さく組み直す発想と同じだ。最初から満額を前提にしない。
死守額さえ通らないとき#
死守額まで削った提案が、それでも止まることがある。そこで4回目を同じ形で出し続けない。
理由を一つだけ聞き、「次はいつまでに、何があれば判断できるか」を相手に決めさせる。期限をこちらから提案しない。決裁者に期限を握らせることで、放置の責任も相手側に残る。
死守額をさらに割った小さな承認を一つ取り、実績を作ってから出し直す段階承認に切り替える手もある。断りの文面を事前に用意しておく発想と同じで、粘る前に退路を先に決めておくと消える燃料が減る。
同じ理由で3回止まった提案を、4回目も同じだけの時間をかけて書き直す義務はない。
まとめ:稟議は説得ではなく配分の交渉だ#
稟議が通らないのは、あなたの説明力の問題ではない。死守額を先に決め、残りを渡す配分に変えた瞬間、決裁者の仕事は可否の判断から選択の判断に変わる。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
査定に載らない組織仕事を振られたその日に、そのまま出せる定型文が3通ある。
→ 期待値コントロール定型文集(抜粋版)続きはタイムラインに置いていく。
