部長会議で「なぜ他部署はAIで議事録も設計書も回しているのに、うちだけ紙とExcelなのか」と聞かれた。返す言葉がなかった。
部下に理由を尋ねると「案件ごとに仕様が違いすぎて、AIに渡す前の整理に時間がかかる」と返ってくる。
外から観察してきた限り、この停滞を自分の指導力不足だと結論づけるSIer課長は多い。だが数字を見る限り、それは誤った自己評価だ。
flowchart TD
A[外注依存] --> B[個別最適]
B --> C[暗黙知温存]
C --> D[AI活用停滞]
何が起きているか——「うちだけ」ではない停滞の数字#
あなたの部署だけが遅れているわけではない。日本全体の構造がそうなっている。
kanagenは2026年、Zenn記事「日本企業はAIを使いこなせるのか」でこの数字を示している。
日本のIT人材の73.6%はIT企業側に集中し、ユーザー企業の内製化率は39.0%にとどまる。米国のユーザー企業内製化率は83.5%だ。生成AIの業務組み込み率も、日本13.1%に対し米国・ドイツは37.9%に達する。
(出典: Zenn - kanagen「日本企業はAIを使いこなせるのか」、データ根拠: IPA DX白書)
この差はリテラシーの差ではない。使い方を知っているかどうかの問題なら、日本と米独でここまで開かない。
外注に人材が偏り、内製化率が低いという産業構造そのものが、生成AIを業務に組み込む土台を薄くしている。個人の学習時間が先に燃料切れになる現象とは別の階層で、業界全体の土台が薄いという話だ。
なぜ起きるか——三つの壁の解剖#
停滞の正体は三つの壁だ。外注依存・個別最適・暗黙知、この三つが順に積み重なって燃料の使いどころを奪う。
外注依存という壁#
顧客企業はシステムを丸ごと外へ出し、自社にはIT人材をほとんど残さない。内製化率39.0%という数字は、その帰結だ。
あなたの部署も同じ構造をもう一段下に持っている。実装を協力会社に委ね、案件の細部の文脈は自分たちの手を離れていく。全体を見渡す人間が、顧客側にもベンダー側にも薄くしか残らない。客先がAIで予習してくる現象も、この薄さの裏返しだ。
個別最適という壁#
案件ごとに要件定義もコードも作り直す。標準化されたテンプレートがないから、一つの案件で組んだAIワークフローが次の案件に流用できない。
毎回ゼロから組み立てる構造では、AI活用の学習曲線がいつまでも横ばいのままだ。技術知識そのものの賞味期限が縮む前に、この横ばいを崩す必要がある。
暗黙知という壁#
なぜこの設計にしたか、なぜこの仕様で押し切ったか。判断根拠は文書ではなく、ベテランの頭の中にしかない。
AIに渡せるのは形式知だけだ。形式知にする作業そのものが後回しにされてきたから、渡す材料が最初からない。
どうハックするか——非競争領域を標準化し、燃料を競争領域へ#
三つの壁を一度に壊す燃料はない。だから、壊す順番を決める。狙うのは、顧客が変わっても中身が変わらない領域だ。
- 非競争領域を洗い出す。 議事録フォーマット、テスト仕様書のひな形、契約書の共通条項など、案件が変わっても形が変わらない部分を先に特定する
- その領域だけAIにテンプレート化して渡す。 1つの案件で作ったプロンプトや雛形を、次の案件でそのまま使い回せる形に固定する
- 浮いた燃料を競争領域に振り向ける。 顧客固有の意思決定の文脈や、ベテランの暗黙知の聞き取りなど、AIに渡せない部分にだけ人の手を残す
この並びを守れば、燃料の追加投入はほぼ要らない。今ある業務の配分を変えるだけだ。夜中に個人アカウントで機密を打ち込むという燃料切れの末路も、標準化の手前で防げる話になる。
逃げの一手#
三つの壁を今期中に全部崩す必要はない。
外注依存・個別最適・暗黙知のうち、どれか一つに触れられただけでも、今期は十分だ。
何も変えられなかったとしても、それはあなたの能力不足ではない。IT人材の73.6%がベンダー側に集中する構造の中に、たまたま今いるだけだ。
あなたの部署の停滞は、指導力の欠如ではない。73.6%という配分の中で起きる、当然の結果だ。
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本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
