来期の社員教育セッションの企画が、また同じあなたに回ってきた。全体集会の進行も、部門横断ミーティングのファシリも、気づけば同じ顔ぶれに集中している。
私が話を聞いてきた課長たちは口を揃えて言う。「なぜか自分にだけ毎回回ってくる」と。
理由は単純だ。査定に載らない組織仕事は、引き受けても加点されず、失敗だけが本業の評価ににじみ出る。片方にしか結果が出ない賭けに、あなたは毎回乗らされている。
flowchart TD
A[組織仕事の依頼] --> B[断らず引き受け]
B --> C[成功しても無評価]
B --> D[失敗で本業も減点]
C --> E[次回も同じ人に]
D --> E
組織仕事は、成功しても加点されない賭けだ#
現行の評価シートに、社員教育の企画や全体集会の進行を記入する欄はない。AI活用が評価シートに乗らない構造とまったく同じ理屈で、組織仕事も既存の評価項目に翻訳できないまま消えていく。
うまく回せても、手柄の帰属先があいまいだ。誰か一人の成果として記録されないまま、記憶からも消える。
一方で失敗はそうはいかない。進行が滞れば「気が利かない」「場を読めない」という印象が残り、それは本業の評価にまでにじみ出る。得るものはゼロ、失うものだけがある。
この非対称さは、昇格という取引にも出てくる型と同じだ(管理職が罰ゲームになる前にで報酬と責任の非線形さを算数にした)。組織仕事の場合は、そもそも報酬側が最初から存在しない。
振られる理由は能力でなく、断らなかった記録だ#
組織は「誰が過去に断らなかったか」を正確に記憶している。人事評価の公式な記録には残らないが、依頼する側の頭の中には確実に残る。
だから次の依頼も同じ人に来る。能力や適性で選ばれているのではない。過去に一度断らなかったという事実が、暗黙の担当者リストに載っただけだ。
本人はこれを「頼られている」と受け取りがちだ。実際は、最も安全に押し付けられる相手として名指しされているにすぎない。
評価は労力の総量では決まらない。査定者の記憶に残るかどうかで決まる。この一点を取り違えると、真面目さがそのまま課金対象になる。
角を立てず総量を戻す期待値コントロールの台本#
断ることを目的にすると、角が立つ。目的は「総量を戻す」ことだと決めておくと、台本が作りやすくなる。
依頼を受ける前に、時間の対価を定量化して見せる。「この企画に20時間かけると、Q案件の資料提出が1週間遅れます。優先順位はどちらにしましょうか」。断るのではなく、判断を依頼者に返す。
引き受けるなら、総量を交換する。「今回の進行を引き受けるので、来月の委員会は別の方にお願いできますか」。1つ増えたら1つ減らす。これを毎回セットにするだけで、年間の総量は変わらなくなる。
引き受けるなら、記憶に残る一点だけに絞る。仮に年間80時間をこうした組織仕事に使うとすれば、時給6,100円換算(年収980万円・裁量労働ベース)でおよそ49万円分の労働だ。
この全部を丁寧に仕上げる必要はない。査定者の記憶に残るのは、当日の冒頭5分か、経営陣の前で話す一瞬だけだ。そこにだけ燃料を集中し、それ以外は最低限で済ませる。
事前に断る文面を用意しておく発想は、燃料ゼロで断りを成立させる設計と同じだ。台本を先に持っておけば、依頼が来た瞬間に燃料を使わずに済む。
逃げの一手#
台本を使っても、全部は避けられないことがある。そのときの退路は、断ることではなく記録することだ。
引き受けた組織仕事の時間と成果を、1on1のメモや週報に一行残しておく。査定に載らなくても、異動や転職の面談では実績として使える材料になる。沈黙したまま評価者の解釈に委ねるよりは、記録という形で自分の手元に残しておいたほうがいい。
もう一つの退路は、後任を先に指名しておくことだ。自分が固定担当のまま何年も名指しされ続けるのが、最も燃料を失う状態だ。
まとめ:組織仕事は能力への評価でなく、断らなかった記録への請求書だ#
査定に載らない組織仕事が回ってくるのは、あなたが優秀だからではない。過去に断らなかった記録が、暗黙の担当者リストに載っているだけだ。
総量を戻す台本を持ち、記憶に残る一点にだけ燃料を使う。それだけで請求書の額は変わる。
ただし、組織の構造上は全部を避けられないこともある。そのとき、あなた自身の燃料が赤になるまで待つのではなく、さらなる対策を先に用意しておくことだ。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
