回答期限の前夜、ストレスチェックの画面を開いたまま、体調を聞く設問でカーソルが止まる。正直に付ければ点数は上がる。一つ軽い選択肢に寄せれば、何も起きなかったことにできる。
検索窓に「ストレスチェック 嘘」と打ちかけて、その手も止まる。迷っているのは点数の高さではなく、この数字がどこまで届くのかを誰からも聞いていないことだ。
flowchart TD
A[評価者の席] --> B[行き先が不明]
B --> C[点数を盛る]
B --> D[同意の扱いを確認]
D --> E[正直な点数を手元へ]
点数を盛りたくなるのは、評価する席から逆算しているからだ#
嘘を書きたくなる理由を、自分の弱さに置かなくていい。あなたは部下の勤怠や様子の変化を見て、半期ごとに評価を付ける席にいる。部下の情報が自分の手元へ上がってくる経路を、毎日使っている。
その席にいると、自分の点数も同じ経路で上司の机に載ると考えるのが自然になる。私はこれを評価者の逆算と呼んでいる。見る側の席から、見られる側の自分を推し量ってしまう癖だ。
私自身、不調の見える部下に産業医面談を勧め、休職まで進めた側に複数回立ってきた。部下の不調を管理職として知る立場を経験しているほど、自分の結果だけは別の扱いになるとは信じにくい。ところがストレスチェックの結果については、その逆算の前提がそもそも違う。
結果が上に渡るかは、条文が本人の同意に預けている#
ストレスチェックの結果の扱いは、会社ごとの運用より先に法律が決めている。労働安全衛生法第66条の10第2項は、検査を行った医師等が、あらかじめ本人の同意を得ないで結果を事業者に提供してはならないと定める(出典: 労働安全衛生法|e-Gov法令検索)。
事業者とは会社のことで、あなたを評価する上司もこちら側にいる。あなたが同意しない限り、結果がこの経路で事業者に渡ることはない。部下の情報があなたへ上がってくる経路と、ストレスチェックの結果が通る経路は、条文の上で別物だ。
情報の非対称はここにある。原則は条文の1文で決まっているのに、その1文を回答前に教わった記憶がないなら、嘘を考えるのは当然の帰結だ。
高ストレス判定を受けたあとの申出については、判定が出たのに申し出るか決められずにいる段階として、会社ごとに経路の設計が違うと書いた。同じ条の第3項は、面接指導の申出を理由とする不利益な取扱いを禁じている。ただ、回答前のいま確かめるべきはもっと手前の、結果そのものの行き先だ。
回答前に実施者へ聞くのは、同意の扱いの1問でいい#
法律の条文が決めているのは「同意なしには渡さない」という原則までで、同意をいつ、どういう形で求めるかまでは条文に書いていない。会社や委託先ごとに画面の作りも違う。同意の欄が出てきたときに、気づかないままチェックを入れてしまうことだけは避けたい。
だから回答の前に、検査を行う医師等の窓口、つまり案内メールに載っている問い合わせ先へ1通だけ送る。自分の不安には触れなくていい。チームに案内する立場として聞けば足りるし、部下から同じことを聞かれたときに答えられる状態にしておくのは、もともとあなたの持ち場の仕事だ。
件名:ストレスチェック結果の扱いについて(確認)
今回のストレスチェックについて、チームから聞かれた際に
正確に案内したいため、1点確認させてください。
個人の結果が会社(上司を含む)に提供されるのは、
受検者が同意した場合だけ(同意を確認する場所が
回答画面の中か、結果の通知後かも含めて)、
という理解で合っていますか。返事で見るのは、「同意した場合だけ」と書いてあるかどうかだけだ。そう返ってくれば、嘘で守ろうとしていたものは「同意しない」を選ぶだけで守れる。ただし一つだけ例外がある。高ストレスと判定されて面接指導を申し出た場合、その申出は結果を事業者へ提供することへの同意として扱われる。申出るかどうかは、判定が出てから別に決めればいい(先の記事に書いた)。
正直に付けた点数は、自分宛ての通知として手元に置く#
同意の扱いが確かめられたら、回答は正直に付ける。同じ第66条の10第2項は、検査を行った医師等から結果が本人に通知されるようにすることを事業者に求めている。正直な点数は、まずあなた宛てに届く。
届いた通知は、会社の共有フォルダではなく私物のスマホに1枚写して、日付を添えておく。次の回に同じ設問へ答えたとき、比べる相手があるかどうかで数字の意味が変わる。
ここで盛った点数を残すと、比べる相手そのものが偽物になる。次に調子が落ちた回に、落ちたことにすら気づけない基準線を、自分の手で引いたことになる。
正直な点数が高く出ると、その夜のうちに辞めるか続けるかまで考えが飛びやすい。点数は燃料の残量の記録であって、辞める理由の確定ではない。結論を急ぐ前に、休職や業務移管のように後から引き返せる退路を先に数えておけば、点数を見たあとの夜も短く済む。
逃げの一手:返事が来なければ、同意しないまま正直に答える#
締切までに問い合わせの返事が来ないこともある。そのときも嘘には戻らなくていい。同意を求める欄があれば「同意しない」を選び、「同意」と書かれた欄やボタンには触れないまま、正直に回答する。
条文が禁じているのは、本人の同意を得ないで医師等が結果を事業者へ渡すことだ。同意していなければ、その禁止はあなたの側に立っている。面接指導を申し出ない限り、同意しないまま正直に答えた点数は、あなたの手元にとどまる。
それでも会社のチェックに数字を預けるのが怖いなら、会社をまったく通らない物差しを別に持っておく。会社のほうの回答は正直に付けたうえで、結果が自分の画面にしか出ないセルフチェックにも答えて同じスマホに写しておけば、自分の基準線を会社の外にもう1本引ける。
まとめ:嘘で塞ごうとした経路は、同意しなければ最初から閉じている#
ストレスチェックの結果が上に渡るかは、労働安全衛生法第66条の10が本人の同意に預けている。偽る前に確かめるのは同意の扱い1問で、正直な点数はあなた宛ての通知として手元に残る。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
査定に載らない組織仕事を振られたその日に、そのまま出せる定型文が3通ある。
→ 期待値コントロール定型文集(抜粋版)続きはタイムラインに置いていく。
