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「どうせ辞める」前提で育成を絞ってきた部下が、5年残った日の期待値ミス

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目次

「どうせ2〜3年で辞めるから、育てるだけ無駄だ」。

私が話を聞いてきた課長たちは口を揃えて言う。この前提が業務設計に染み込んでいる、と。研修を薄くする、1on1の頻度を落とす、難しい仕事をあてがわない。根拠のある判断というより、いつの間にかそう動いていた、という課長がほとんどだ。

2026年6月、その前提が現実と乖離し始めていることを示す報道が相次いだ。新入社員の「今の会社で働き続けたい」という意向が66.3%に達し、過去12年で最高水準となった、という調査シグナルだ(出典: ALL DIFFERENT・ラーニングイノベーション総合研究所「2026年度新入社員意識調査(キャリア・勤続意向編)」)。「定着しない若者」という前提で設計してきた課長は、今まさに期待値ミスの請求書を受け取りつつある。

flowchart TD
    A[若者はすぐ辞める前提] --> B[育成投資を絞る]
    B --> C[在籍期間が伸びる]
    C --> D[燃料対回収の試算が狂う]
    D --> E[期待値の再設計が必要]

「辞めるから育てない」が機能不全を起こす構造
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「どうせ辞める」という前提は、育成投資の燃料効率を計算した結果として採用されてきた。

H = Result / Energy という燃料計で見ると、分母のEnergyには「育成に使う時間・感情コスト・OJT設計の工数」が含まれる。分子のResultを「在籍中に回収できる成果」と定義すると、在籍期間が短ければ短いほどResultは小さくなる。この計算式に「どうせ2年で辞める」という係数を掛けると、育成投資の燃料効率は限りなくゼロに近づく。課長がOJTを薄くし、1on1を形骸化させ、まず自分で動いてしまう理由は、感情論ではなく算数だった。

問題は、その算数の入力値が変わったということだ。

「在籍期間の見込み」という変数が実態として伸びているとすれば、燃料対回収の比率は変わる。2年で辞めると想定していた部下が5年在籍するとしたら、同じ育成コストが産み出すResultは2.5倍になる計算だ。投資判断の前提が変わったのに、古い前提で設計したままの課長が機能不全を起こすのは当然だ。

外から観察してきた限り、この前提の更新が最も遅れているのは「若手の離職で何度か痛い目を見た」課長だ。経験則は強い。だが経験則は過去の平均であり、現在の個別を保証しない。育成を絞り続けた末に部下が突然爆発する構造は、この「経験則の固定化」が引き金になることが多い。

期待値再設計の燃料計算
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在籍期間の見込みが変わったとき、課長がやるべきことは育成への「気合い」を入れ直すことではない。投資判断の試算を更新することだ。

具体的には3つの変数を見直す。

在籍見込みを何年で試算するか。「2年で辞める」から「5年在籍する可能性がある」に変えると、育成投資の回収期間の設計が変わる。全員を5年前提にする必要はない。問題は「全員に同じ係数を掛けていること」だ。部下ごとに在籍シグナルを拾い、試算の前提を個別化する。

1on1の目的を再定義する。「どうせ辞める」前提の1on1は、業務進捗確認と不満の初期消火に特化している。燃料を使わない最小限の設計だ。在籍見込みが伸びるなら、1on1の目的に「この部下の得意領域の発見と任せる仕事の設計」を足す価値が出てくる。目的が変わればEnergyの配分も変わる。1on1の感情燃料コストを削りながら質を上げる弁の仕込み方は別の記事で扱っているが、まず「何のためにやるか」の再定義が先だ。

OJTの深さを部下の在籍シグナルで分ける。全員に同じ深さのOJTを課すのは燃料の非効率だ。在籍継続のシグナルが強い部下、業務の代替が利きにくいポジションにいる部下、この組み合わせで投資の優先順位をつける。燃料を使うべき部下に集中させる設計だ。

在籍シグナルの読み方
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期待値の再設計には、部下の在籍継続意向を観察する仕組みが必要になる。

ただし、「この会社に長くいたいですか」と直接聞いても意味はない。問いの設計が悪い。「大丈夫です」しか返ってこない部下の観察設計で書いた構造と同じ問題だ。良い情報は直接質問からは出てこない。行動の変化から読む。

外から観察してきた課長たちが気づかずに見落としているシグナルは以下だ。

  • 中長期のプロジェクトへの参加意向(1年以上先の話に自分から言及するか)
  • 社内の横の関係構築(他部署とのつながりを自発的に作っているか)
  • スキル習得の自発性(業務に直結しない勉強を自主的にしているか)

これらは質問で引き出すより、1on1の雑談と日常の行動観察で蓄積する。1on1の感情コスト採算が取れているかの計算の記事で整理したが、感情を使って聞くのではなく観察記録として蓄積するのが燃料効率の高い手法だ。

「辞めそうか辞めないか」を読もうとするのではなく、「長期投資に値する人材か否かの判断材料を集める」という目的に変えると、観察のコストは下がる。

逃げの一手
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ここまで読んで「部下の観察に燃料をかけるほど今の私に余裕はない」と感じたなら、それは正直な認識だ。

まず試算だけ更新すればいい。「この部下を2年と見ているか5年と見ているか」を自分の頭の中で整理する。それだけでいい。在籍シグナルの観察も、1on1の目的再設計も、試算を更新した後に動かす話だ。

試算を更新した結果、「やはり投資する価値がない」という結論になった部下がいるなら、それはそれで一つの判断だ。全員に同じ設計をかける必要はない。燃料を絞るべき部下と、投資を増やすべき部下の区別ができれば、それだけで今より効率の良い配分になる。

もし特定の部下が明確に退職シグナルを出しているなら、投資を絞ると同時に引き継ぎ設計を早めに動かす。その手順は部下に「辞めます」と言われた課長が、引き止めより先に踏む3ステップに書いた。在籍見込みの試算は常に外れる可能性がある。退路の設計は育成投資とセットで持っておくべきだ

まとめ:期待値のアップデートが先、育成の設計はその後
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「若者が辞めない時代」という言葉に浮き足立つ必要はない。

ただ、「どうせ辞める」という古い入力値で動いている課長は、燃料計の試算が静かに狂い始めている。入力値を更新し、部下ごとの投資判断を再設計する。それだけの話だ。

本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。

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NAE
著者
NAE
IT業界で休職し、年収2,000万まで戻した中間管理職。「この努力、燃料計算合ってる?」が判断基準。頑張れとは言わない。→ 詳しくはこちら

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