9月に入ると、来期予算の叩き台を出せと言われる。役員会議では「もっと予実管理の意識を持ってほしい」と念を押される。だが実際にエクセルへ数字を打ち込む時間を確保してくれる人も、分析ツールの使い方を教えてくれる人もいない。
flowchart TD
A[経営層94.7%期待] --> B[意識要求のみ]
B --> C[支援ゼロ]
C --> D[現場76.7%課題]
経営層94.7%、現場76.7%——数字が示す非対称#
カオナビが2024年11月13日から15日にかけて実施した「ミドルマネージャーの予実管理に関する実態調査」がある。対象は経営層150名とミドルマネージャー(課長、部長クラス)150名だ。
経営層の94.7%が「ミドルマネージャーに予実管理の意識が必要」と回答した。一方、ミドルマネージャー自身は76.7%が予実管理を課題だと感じている(出典: カオナビが「予実管理に関する調査」を実施 経営層の95%が“予実管理の意識”が必要と回答するもミドルマネージャーの8割が課題感)。
二つの数字は対立していない。むしろ噛み合っている。経営層は意識を求め、現場はまさにその重みに耐えかねている。ズレているのは意識の有無ではなく、意識の下に何を渡すかだ。
なぜ「意識」だけが渡されるのか#
同じ調査で、ミドルマネージャーが挙げた課題の内訳を見ると、渡されていないものの輪郭がはっきりする。
最も多かったのが「予算策定や見込みの精度」で39.3%。次いで「データ収集や入力業務の手間」が33.3%、「データ分析に関するスキルや知識の不足」が29.3%だった(出典: カオナビが「予実管理に関する調査」を実施 経営層の95%が“予実管理の意識”が必要と回答するもミドルマネージャーの8割が課題感)。
3つとも、意識の問題ではない。1つ目は判断の難度、2つ目は作業の物量、3つ目は教育の不足だ。経営層が求めているのは「意識」という態度であって、精度を上げる時間でも、入力を減らすツールでも、分析を学ぶ研修でもない。
態度だけを求めて、権限とスキルの支援を渡さない。この非対称構造こそ、雇われの算数の典型例だと私は見ている。数字を作る責任は現場に置かれ、数字を作るための資源は現場に置かれていない。
数字収集はAIに渡し、判断だけ自分に残す#
3つの課題のうち、あなたの裁量だけで動かせるのはどれか。予算策定の精度は経営判断と連動するので一人では変えられない。スキル不足を埋める研修も会社の投資が要る。
だが、データ収集・入力の手間は実働であって判断ではない。ここだけは今日から動かせる。
たとえば月次の実績データを部門別・科目別のスプレッドシートから集めているなら、その転記と集計をAIに渡す。次のプロンプトをそのまま使える。
以下は今月の部門別実績データ(スプレッドシートからコピーしたもの)です。
予算額・実績額・差異額・差異率を部門ごとに整理した表を作ってください。
条件:
- 差異率が±10%を超える部門には「要確認」の印を付ける
- 数値は千円単位、差異率は小数第1位まで
- 出力はそのままスプレッドシートに貼れるタブ区切りの表にする
【データ】
(ここに部門別の予算・実績の生データを貼り付ける)出てきた表はそのまま使う。転記ミスがないかだけ目視で確認し、整形には手を入れない。業務を判断と実働に分けて渡す考え方は、報告書でも予実管理でも同じ順序で効く。
浮いた時間は、39.3%が課題に挙げた「予算策定や見込みの精度」に充てる。来期の数字をどう見積もるか、どの前提が崩れやすいかは、AIには渡せない判断だ。ここに燃料を残すために、入力作業を先に手放す。
ただし、入力作業をAIに渡しても、課長に投じた燃料が実は回収されず、感情労働や政治調整が残る構造もある。判断に充てる時間が増えても、その判断が実装されなければ燃料は返ってこない。予実管理の精度を上げるために出した判断が、次の日には上書きされるなら、その時点で上司に「精度に対する責任も同じ比率で下げてほしい」と伝える。
逃げの一手#
AIに渡しても、渡す前のデータ自体がバラバラで整形に時間を取られる日もある。フォーマットが部門ごとに違う、担当者によって記入ルールが違う——そんな状態もある。そのときは集計より先に、「フォーマットを統一してほしい」と上司に伝える。
意識を求めるなら、権限とツールも先に渡してほしい。断り文句をあらかじめ準備しておく発想と同じで、その場で考えず先に用意しておく。
「予実管理の精度を上げるには、入力フォーマットの統一が先に必要です。まずそこから着手させてください」
これで返ってくる答えが「難しい」なら、精度に対する責任も同じ比率で下げてもらう。支援ゼロのまま意識だけ求められる関係を、片方だけが背負う理由はない。
まとめ:予実管理は意識ではなく配分の問題#
経営層の94.7%と現場の76.7%は対立ではなく、意識だけ渡して支援を渡さない非対称の結果だ。入力作業をAIに渡し、判断だけ手元に残す配分が、そのギャップを埋める最初の一手になる。
本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。
査定に載らない組織仕事を振られたその日に、そのまま出せる定型文が3通ある。
→ 期待値コントロール定型文集(抜粋版)続きはタイムラインに置いていく。
