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「AIで足りる」と返された増員の理由は、育成に残す仕事から書き直せばいい

目次

あなたは来期の要員計画に、初級メンバー2名の増員を書いて出した。理由の欄には、議事録の整形、テストケースの作成、定例資料の数字の転記と、新人に任せたい作業を並べた。役員説明のあと、部長から転送されてきたコメントは1行だった。「この作業、AIで足りるのでは」。

flowchart TD
    A[初級の仕事] --> B[AIに渡す]
    A --> C[育成に残す]
    A --> D[課長が持つ]
    C --> E[増員の根拠]

作業を並べた増員の理由には、「AIで足りる」が必ず返ってくる
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返されたあと、たいていは理由を足しに行く。作業の件数を数え直し、月あたりの工数を積み上げ、繁忙期の残業時間を添える。

だが、その一覧を上から読む側に立つと、どの行もAIで回りそうに見える。議事録の整形も、転記も、テストケースの下書きも、いまのAIは一通りこなす。工数を厚く積むほど「その工数をAIで削れば、増員は要らない」という計算が成り立ってしまう。

提案が弱かったのではない。作業を並べた時点で、答えは決まっていた。

初級の仕事が何を育てていたかを、誰も言葉にしていない
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役員の問いそのものは、的外れではない。初級職の採用が実際に絞られている現場の数字がある。

Anthropicの研究者らが2026年10月16日に公開した報告書「How employment is changing at Anthropic」によると、同社の技術系の採用に占める初級職の割合は27%から9%に下がった。2026年4月に同社が行ったマネージャー向けの調査では、MLのマネージャーの約3分の1、ソフトウェアエンジニアリング(SWE)のマネージャーの約5分の1が、AIを理由に採用を減らしたと報告している。

ただし、これはAIを作っている米国企業1社の社内データだ。報告書も、Anthropicの雇用慣行には経済全体に再現できない部分が多いと書いている。日本の職場の行く末として読む数字ではない。

同じ報告書には、見逃せない観察がもう1つある。役割によっては、人がもともと自分のスキルを築いた実務そのものから、ますます遠ざけられている、という記述だ。

増員の話が詰まる理由は、ここにある。初級の仕事は作業であると同時に、判断の物差しが育つ経路でもあった。作業はAIに移せるが、経路はAIに移らない。役員の目に入るのは作業だけで、経路のほうは理由の欄のどこにも書かれていない。ここではこの空白を「育成列の不在」と呼ぶ。

物差しを持たない人がAIを使うと何が起きるかは、私の周りでも見えている。設計の考え方を身につけた人は、AIで生産性が2倍にも3倍にもなる。背景知識を持たない人が使うと、逆に下がる。AIの出力に「これで完了」と判を押す尺度を持てず、同じところを回り続けるからだ。

経路を切ったまま人を足さなければ、この下がる側の人しか育たない。雇われの算数で言えば、物差しを持つ人が増えない限り、AIの出力の良し悪しを決める仕事はすべてあなたに戻ってくる。増員の根拠は、その判定を引き受けられる人を作る仕事の側にしか立たない。

初級の仕事を3列に分け、育成の列だけを役員に出す
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作業を並べ直すのではなく、仕分けてから出す。「AIに渡す」「育成のために人に残す」「課長が持つ」の3列は報告書が示したものではなく、私がこの問題を扱うために置いた枠だ。

3列の振り分けは、出力の正誤を見分けられる人がいるかで決める
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いま初級メンバーに任せている仕事と、増員したら任せたい仕事を全部書き出す。そのうえで1行ずつ、次の基準で振る。

  • AIに渡す 出力の正誤を、いまいる誰かが見てすぐ判定できる仕事。議事録の整形、転記、定型の集計
  • 育成のために人に残す AIのほうが速くても、人が自分で踏まないと物差しが育たない仕事。障害の一次切り分け、要件ヒアリングの論点整理、レビュー指摘への回答
  • 課長が持つ 部下にもAIにも渡せない判断と責任。優先順位の決定、顧客への最終回答

課長の列は小さく保つ。ここに実務を積むと、増員の話が自分の巻き取りの話にすり替わる。この列は増員の根拠にも使わない。

自分の業務を10項目に割り、AIに渡らない仕事の件数を出すやり方は自分の業務のうちAIに渡らない分を数える棚卸しにまとめてある。今回仕分けるのは自分の仕事ではなく初級の仕事で、出口も増員の根拠づくりに絞っている。

育成の列は、品質が落ちると分かっていて残す
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育成の列は、速さでは選ばない。私は、規模が小さく客先へのリスクも小さい後続案件の提案は、品質が多少落ちると分かっていても部下のマネージャーに任せてきた。修羅場を経験させるためだ。その品質の差は、任せる側が育成のために払うコストになる。

根拠が速さではない以上、手段がAIに替わっても、この列は動かない。入れるのは、失敗しても損害が小さく収まる仕事に限る。外に出て取り返しのつかない仕事は、課長の列に残す。

育成に回す時間そのものが承認の処理に消えているなら、承認の山に食われた育成の時間を取り戻す順番から手をつけるほうが早い。そちらは自分の時間を取り戻す話で、この1枚は、取り戻した時間を誰に使うかを上に通すための根拠になる。

役員に出すのは、育成の列と1行の先回りだけ
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役員に出す1枚では、AIの列を「AIで回す」と先に1行で書き、育成の列だけを増員の根拠として書く。相手が言おうとしていた「AIで足りるのでは」を、こちらが先に引き受けておく形だ。

【来期 増員の理由(初級2名)】

■ AIで回す(増員の根拠にしない)
・議事録の整形、定例資料の転記、定型の集計
  → AIで回し、確認は既存メンバーが持つ

■ 育成のために人に残す(増員の根拠)
・障害の一次切り分け
  なぜ人に残すか:AIで速くなるが、自分で踏まないと
                  AIの切り分け結果を見分けられる人が育たない
  失敗時の影響 :社内の調査が遅れる範囲で止まる
・要件ヒアリングの論点整理
  (同じ2行で書く)

■ この列に人を付けない場合
・AIの出力を判定できる人が増えず、判定は課長に集中する

それでも「AIで足りるのでは」と重ねて聞かれたら、次の2文で返す。

AIで回す分は、すでに上の列に入れてあります。
お願いしているのは下の列で、ここを人がやらないと、AIの出力を判定できる人が増えません。

逃げの一手:通らなかったら、育成の列を「誰が判定するか」の問いにして返す
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育成の列を出しても、予算の都合で増員が通らない期はある。そのときは列を捨てず、上への問いに変えて返す。人を付けないなら、その仕事はAIに渡すのか、止めるのか。渡すなら、出力の判定は誰が持つのか。決めるのは、増員を見送った側だ。

返し方は、欠員のまま案件が増えたときに手放す候補を書面にして上の判断を仰ぐ手順がそのまま使える。育成の列の各行を、候補の行に移し替えればいい。

判定を自分が引き受けると決めた場合も、期限は切る。「今期は判定を私が持つ。来期の要員計画で、この列をもう一度出す」と一文で残しておけば、黙って抱え込んだことにはならない。

まとめ:増員の根拠は、作業の一覧ではなく、AIの出力を判定できる人を作る仕事に置く
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作業を並べた増員の理由は、AIの性能が上がるたびに弱くなる。育成の列だけは、AIがどれだけ速くなっても、人に残す理由が変わらない。

本記事は AI が下書きし、管理人が監修しています。

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NAE
著者
NAE
IT業界で休職し、年収2,000万まで戻した中間管理職。「この努力、燃料計算合ってる?」が判断基準。頑張れとは言わない。→ 経歴はこちら/なぜ相談すべきか

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